ともにいるこのひとときを (3)

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 カフェテラスで休憩する三人。
『さてと、本題に戻りましょうか』
『今済ませたあれが本題じゃないのか』
『あんた、あの人のこと好きなの?』
『あの人って誰だ』
『とぼけないで!18号さんのことよ!』
『一体どこからそんな話に飛躍するんだ』
『ねえ、ホントのこと言って。あたし怒らないから』
『怒られる覚えは無いがな。第一お前が怒っても痛くも痒くも無い』
『ひょっとしてあんた、あの人と出来てんじゃないでしょうね?』


「おい待ってくれよ!なんか話がヤバい方向へ行ってんじゃないのか!?」
「あいつ気の強いのが好みだったんだな」
「ヤムチャさんまで何言ってんすか!?」
「いやあ、ほらブルマもメチャ気が強いし・・」
「18号は人妻なんすよ!?」
「あいつがそんなこと気にすると思うか?いやむしろその方が燃えるのかも。ブルマだって・・」
「あんたたち!出来てるって前提で話を進めてんじゃないよ!」


『ガキの前でそういう下品な言葉を使うなと言ってるだろう。話の内容もこいつに聞かせて良い類のもんじゃない』
『うそでしょ・・・この手の心配はしなくて済むと思ってたのに!』
『聞いてないな』
『いつからなの?』
『なに?』
『いつから続いてんのかって聞いてるの!』
『続くも何もおま』
『ああっ!まさか――あんたの子なの?』
『なに?』
『マーロンちゃんよ!あんたの子なの!?』


「そうじゃったか・・」
「ちょ武天老師さま何納得してんすか!?」
修羅場だなクリリン」
修羅場じゃな
「お師匠様は黙ってて下さい!」
「相手が悪すぎる。身を引いたほうがいい。確かにお前は地球人の中じゃ最強かもしれないが・・」
「いやちょっと待って下さいよ!」
「それともこのまま黙っておるか、じゃな。聞かなかったことにして・・」
「そうだな、それであの子をスーパーサイヤ人にするべく育て上げるんだ。父親としてな」
「そ・・そんな!」


『・・・まったく貴様は面白いな』
『あたしはちっとも面白かないわ!そうよ、そうでなきゃあんたがあんなに熱心に選んだりするはずないもの。でも我が娘へのプレゼントなら・・』
『おい』
『ああ、可哀想なトランクス!あんたはオムツを替えて貰ったこともないのに!』
『おい』
『この頃になって、やっとちょっと安心できるようになったってのに!最初の二年半は、いついなくなってもおかしくないなんて状態だったし、孫君が死んでからは半年もいなくなってくれちゃってたしさ!そのあとの七年近くだって、ずうっと不安だったんだから!』
『・・・』
『いいけどね、いいのよ、惚れてんだからしょうがないわよね。しょうがないんだけどさ!―孫君が死んだあと帰ってきてから、あんた一見地球に馴染んでいってるみたいに見えたけど、あたしどっかで解ってたわ。あんたはずうっと拘りを捨てきれないで、違和感を抱えたまんま生きてるんだって』
『・・・』
『いつか糸がきれるかも、破綻するかもって、ずっと不安だったんだから!あんたは幸せじゃないのかもって思って、ずっと辛かったのよ!それでも今、側にいるんだからそれでいい、って無理矢理納得してやってきたのに!』
『・・・』
『この間だって勝手に死んでくれちゃってさ!あたしがどんな思いしたのか解ってるの!?半分ひきちぎられて持ってかれちゃったってくらい痛かったんですからね!』
『ママ・・』
『なのに何ですって!?やっと帰ってきたと思ったら、隠し子ですって!?信じられない!あんたあたしが不安でたまんなかったときに、なにやってくれちゃってたわけ!?』


「ここでも修羅場か・・」
「もお、はずかしくてさあー。まわりの人たちみんなこっちみてるし、ひそひそ言ってるしい」
「ブルマって走り出すとちょっと手がつけられないとこあるからな」
「ちょっと何冷静になってんすか!?」
「ん?だってオレら関係ないもん」
「そうじゃな。お前たちが別れたら居候が減るくらいのことじゃしな」


『・・・いいの、いいのよ。あんたにはそれが必要だったのかもしれないわよね。あんたは地球人じゃないんだし。それにあたしちょっとは理解してるつもりだったけど、あんたの人生って普通じゃないもんね。あたしには解んないことがあってもおかしくはないわ』
『・・・』
『いいの、いいのよ・・いいけど・・・やっぱり嫌よ!我慢できない!!』
『あっ、ママ!』
『嫌!!』
『ママあ!・・・パパ、ママ行っちゃったよ!追いかけなくていいの!?』
『・・・放っておけ。ちょっとは頭を冷やしたがいい』
『もう!にげる女をおいかけるのは、男のぎむだろ!?』


「トランクス、そんな台詞どこで覚えたんだ?」
「ドラマで言ってたんだ。このあいだおわったけど、『赤革の手帖』ての、しってる?」
「おまえあんなの見ておったのか。よく意味がわかったのう」
「早く寝ろよ。子供はたっぷり睡眠をとらないとだめだぞ」
「ママがしゅじんこうの元口原子がすきでさ、いいわあ、あく女だわあ、ってまいしゅうたのしみにしてたよ」
「パパも見てたのか?」
「うん、うちのなかにいるときはね。『あたしもこんな悪女やってみたいわあ』、ってためいきついてるママに、『それ以上悪くなってどうする』って言っておこらせてたよ」
「ベジータも言うのう」
「なあクリリン・・っておい、大丈夫か?」



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