艶―烏龍の憂鬱 (1)

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 最近、彼の居候先のカプセル・コーポは、ちょっと様子が変だった。
 ずっと長い間一緒に住んでいたヤムチャは―途中何度か追い出されたり、死んでいたりして居なかった事もあったが―、去年の暮れ頃出て行ったきり戻らないし、ヤムチャと一緒にここに住んでいたプーアルも、それから何日もしないうちにブルマに連れられて出て行ったきり帰って来ない。彼らの不在は烏龍を孤独のどん底に突き落としたりはしなかったが、それでもやっぱり一抹の物足りなさを覚えるのは事実だった。
 彼らはどこに行ったのかと家人に尋ねてみたりもしたが、誰もはっきりとは知らないようだった。
「さあのう、修行にでも出てるんじゃないのかい」
「さあ・・最近お見掛けしませんわよね。ブルマさんなら御存知かもしれなくてよ」
 ブルマに訊けば多分ハッキリするのだろう、とは分かっていたが、せっかく最近御機嫌な様子の彼女の逆鱗に触れるようなことにでもなれば、どんなとばっちりを食らうか知れたものではない。
 あいつはある意味ベジータより怖いからな。
 彼は最も新しい同居人の、視線を向けるだけで自分を失神させそうな顔を思い浮かべて青ざめ、それから彼女が怒ったときの般若のような形相を思い浮かべて、ぞっと身震いした。



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